ツマグロキチョウ
絶滅危惧種ツマグロキチョウの世界
- ツマグロキチョウ(褄黒黄蝶)は、シロチョウ科に属する小型の蝶です。
- 国内では本州(宮城県以南)、四国、九州に分布していますが、本種の幼虫の食草であるカワラケツメイ(河原決明)の減少に伴い、都府県によっては絶滅種あるいは絶滅危惧種に指定されているようです。
- 近似種のキタキチョウ(北黄蝶)に似ていますが、ツマグロキチョウの方が小型で、
また前翅頂が角張っている点や後翅裏面に茶褐色の線条が入るなどの点で区別できます。
- ツマグロキチョウ(褄黒黄蝶)の夏型は、秋型に比べると小型で色も黄色です。
- 特にオスは濃い鮮明な黄色で、メスは淡い黄色です。
- また夏型の翅は、秋型に比べるとやや丸みを帯びています。
- 雌雄の判別は、翅の色の黄色の濃淡以外に、前翅表面の翅頂から外縁に沿って現れる黒斑の形状でも可能のようですが、
筆者は捕獲せずに蝶の写真を撮っており正確な雌雄の判別は困難です。
- 夏型のオスでは、この黒斑が1b室に薄く現れるが、メスでは2室で止まるようです。
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ツマグロキチョウ・夏型
ツマグロキチョウ(夏型)。6月初めに同じ場所で夏型と秋型のツマグロキチョウが観察された。
- 秋型のツマグロキチョウ(褄黒黄蝶)は、夏型に比べ少し大きく、色は写真のように茶色じみた色で、翅も厚みがあって暖かそうに見えます。
- 秋型は9〜10月頃に発生し、産卵せずに越冬するようです。
- 以下の写真にも12月下旬に撮影したものが含まれていますが、冬場日当たりの良い場所の枯れ草の中にいるのを観たことがあります。
- また、6月上旬に秋型と夏型が同時に観られる事があります。
- 秋型は夏型に比べ前翅頂が角張っている点や、後翅裏面にはっきりした茶褐色の線が横切っているなどが特徴だそうです。
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- 2014年の秋に、たまたま筆者の庭に生えていたカワラケツメイに、複数のツマグロキチョウ(褄黒黄蝶)の蛹があるのを発見しました。
- それから数日間、時々チェックしていましたが、羽化の瞬間は見逃してしまいました。
- 以下の写真は羽化直後の写真です。
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- 2014年の秋に、たまたま筆者の庭に生えていたカワラケツメイに、複数のツマグロキチョウ(褄黒黄蝶)の蛹があるのを発見しました。
- 以下の写真はその時の状況で、まだツマグロキチョウの幼虫の状態の個体や蛹になった個体まで観察されます。
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ツマグロキチョウの蛹
ツマグロキチョウの蛹。かなり黄色くなってきており、翅の褄黒部分が透けて見える。
ツマグロキチョウの蛹
ツマグロキチョウの蛹。翅の褄が黒くなっているなど蝶の形がはっきりしてきている。
- ツマグロキチョウ(褄黒黄蝶)の幼虫の唯一の食草は、カワラケツメイと言われています。
- 以下の写真はカワラケツメイ上の幼虫の生態の一部です。
- ツマグロキチョウの幼虫が、蜂の餌食になっている瞬間を時々見掛けます。
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- ツマグロキチョウ(褄黒黄蝶)の唯一の食草と言われるカワラケツメイですが、
筆者の地域では「キシマメ」と呼び地上部全草を天日干しした後に、茶葉と共に炒り「キシマメ茶」と称して日々飲用しています。
- その為近くの畑などで半ば自然放置状態(無農薬)でカワラケツメイを栽培しています。
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カワラケツメイ
ツマグロキチョウの幼虫の食草であるカワラケツメイの群生。
カワラケツメイ
カワラケツメイの葉は偶数羽状複葉(うじょうふくよう)。
カワラケツメイ
サヤエンドウに似た形の実がついたカワラケツメイ。花も見えている。
カワラケツメイ
食草であるカワラケツメイに留まるツマグロキチョウ(夏型)。
カワラケツメイ
ツマグロキチョウの蛹が付いたカワラケツメイ。写真下の方に豆果が1粒見える。
カワラケツメイ
”キシマメ茶”として飲用する目的でカワラケツメイを天日干し中。
カワラケツメイ
カワラケツメイの葉・茎・果実を天日干し後、茶葉に混ぜて炒る。